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【2024/05/20 07:20 】 |
【ねこのいる休日】後



☆前編は此方です


本当に、自己満です(苦笑)





追記より後編です☆><











【ねこのいる休日】後










―――…イト。………ェイト…。



「……ん…」



どこか懐かしい声に意識が引き上げられる感覚。

あ…私は、眠ってしまっていたのか。

それとも夢の中なのか…意識は輪郭を得ないままに微睡みの中に引き込まれる…。



「―――フェイトッ!」

「ぅあっ!?」



強めに自分を呼ぶ声で飛び起きる。ぼんやりとしていた意識も凄まじい勢いで鮮明さを取り戻す。

…取り戻した筈だったが、目の前の光景を見て、図らずも思考は停止した。



「もう…こんなところで寝てしまっては風邪をひきますよ。フェイト」

「……ぅ、あ…」



間抜けな声しか出て来ない。

…目の前には、あの頃と何一つとして変わらない姿のかつての恩師。



「フェイト…寝ぼけているのですか?」

「リ…ニス……?」

「はい。そうですよフェイト」



柔らかく微笑まれる。…それだって、何一つ当時と変わらない。



「リニス…」

「はい?」

「…リニスだ」



名前を呼ぶ。それだけで、涙が零れてきた。



「もう…大きくなっても泣き虫は変わらないようですね」

「…そんなに、泣いてないっ…」

「お化けが怖くて泣いていたのは誰ですか?」

「リ、リニスッ!!」



小さい頃のそんな情けない話を蒸し返さないで欲しかった。きっと恥ずかしさで真っ赤になっている顔を見られたくなくて咄嗟に俯く。…頭に温かいものが触れた。



「…リニス?」

「……本当に、大きくなりましたね。フェイト」



…その言葉と優しさが嬉しくて涙が止まらなくなったけど、今度はリニスは、何も言わずに撫で続けてくれた。















「…さっきの猫はリニスだったの?」



落ち着いた頃に、リビングの中を見渡した。私が連れて来た筈の猫の姿が見えなかったからだ。

猫が居なくなってリニスが現れた。…考え付くのは、つまりそういうことで。けれどリニスはクスリと笑って、



「フェイトがそう思うなら、そういうことです」

「…誤魔化してる?」

「自分で考えるのも必要なことです」

「…お勉強みたいだ」



今のやりとりで、以前リニスに様々な魔法に関する知識を教えてもらったときのことを思い出して胸の中が温かくなる。



「でも勉強は嫌いじゃなかったでしょう?」

「うん。好きだよ。リニスが新しいことを教えてくれる度にわくわくしてた」

「…あなたは、何であっても直ぐに吸収して、マスターしてくれましたからね」

「リニスの教え方が良かったからだよ」

「…ですが教える側としては、少し教えがいに欠ける部分もあったと言いますか」

「あー、リニスそんなことを考えてたんだ」

「まぁ、あなたが優秀であるということは、私としてはとても誇らしいことではありますが」

「…えへへ///」



まるで昔にかえったような感覚。少しばかり自分が幼くなっているかもしれないと考えたら、ちょっと気恥ずかしくなった。

…二人並んで床に座って、窓の向こうを暫し無言で眺める。

新しい家族のことや友達のこと、いくら話しても話し足りないと思っていた話題も既に語り終え、ただ静かな空間に身を浸す。

時計の音と呼吸音しか響かない空間。時間の流れは…どこまでも緩やかだ。



「リニス」

「はい?」

「…呼んでみただけ」

「…そうですか」



そのまま無言が続く…と思ったが、何故か隣で、リニスが堪えきれなくなったように小さく笑い出し、きちんと正座をしていた姿勢を崩して横座りになる。



「リニス?」

「あなたの『呼んでみただけ』はこういうことですから」



…膝枕。

やっぱりリニスには適わないらしい。

頬を指でひと掻きして、私はそこに頭を乗せた。



「まったく…。こういうところは変わってないんですね」

「…でも前よりも成長してるところもあるよ?ほんとだよ?」

「髪を一人で洗えるようになったところですか?」

「む、昔だって洗えてたんだよ?目が開けられないだけで!」

「そうでしたか?」

「…むぅ…」



仕返しのつもりで頭をぐりぐりと押し付ける。



「こらフェイト。くすぐったいですよ」

「…知らないよ」

「…くす」



頭を撫でられる感覚に、面白くないと思っていた気持ちも宥められていくような気がした。



「…以前より子どもみたいになってますよ」

「…そんなことないよ」

「そんなことあります。…でも、それがなんだか安心するんです」

「…どうして?」



撫でる手は一瞬止まり、さっきよりも優しい手つきになる。



「…あなたはほとんど甘えることをしない子どもでしたから。そしてとても聞き分けの良い子でした。わがままも言わず、勉強熱心で。…だから、あなたがごく稀にこうして膝枕をねだってくることが、密かに嬉しかったんですよ」

「…うん」

「“もう少し子どもらしく振る舞って欲しかった”。…今更ですが、そう思うこともありました」

「うん」

「…フェイトは、」

「うん?」

「…良く、笑うようになりましたね。それも心からの素敵な笑顔です。

…幸せそうで、本当に良かった」



あまりにもリニスが優しい声でそう言うから、ちょっとだけ泣きそうになったのは内緒。



「…あのね、リニス」

「はい」

「“護りたい人”が、沢山出来たんだ」

「…はい」

「それこそ私の手には抱えきれないぐらいの幸せを沢山の人から与えてもらってる。…私は、その幸せをくれる大切な人達のことを護りたいんだ」

「はい」

「リニスがその為の力を育ててくれたから、私は…そうして戦えるんだ」

「…」

「“護る”ことは簡単な事じゃないって分かってる。出過ぎた力では護れないことも、もちろん分かってる。
…リニスが力の上手な使い方を教えてくれたから、私は、自分に出来る最大のことが出来るんだ」

「…」

「…えっと、でもほんの時々無理し過ぎだって怒られちゃうんだけどね?…でもお仕事とかは大変なことだし、私もちゃんと自覚はしてるっていうか…」

「…」

「リニス?」



いつの間にか相槌がなくなってしまい、どうしたのかと振り仰ごうとしたところで、リニスに止められた。



「フェイト…少しの間私の顔を見ないで下さい」

「どうして?」

「良いですから」



リニスらしからぬ強引さで頭を押さえつけられる。元々この状態じゃあ見れないんだけどなぁ…なんて思いながら、取り敢えずされるがままにしておいた。



「…フェイト。私はそんなに、大それたことはしていませんよ」

「え…」

「私は確かに、あなたに力の在り方を教えました。でも…その力を“護る力”に変えたのは、あなた自身の心の強さが成したことです」

「…」

「私は…寧ろ何もしていません。―――あなたが何れ立ち向かわなければならない運命を知りながら、私は、何もしてあげられることが出来ませんでした」

「―――…」

「でも…あなたはちゃんと向き合ってここにいる。優しさも、慈しむ心も、何一つなくすこともなく。

…本当に、立派になりましたね」



…誉めてくれることは嬉しい。…でも



「自分のこと、悪く言わないで」

「えっ」

「リニスが私に何もしなかったなんてこと、絶対にないんだ。だって…
私を最初に愛してくれたのは、他でもない、リニスじゃない」

「っ…」

「愛されていたことに気付くのは大分時間が掛かったけど、でも、私に力だけじゃなくて、“愛情”を教えてくれたのは間違いなくリニスなんだ。

リニスは…本当に沢山の大切なことを教えてくれたんだよ?」



ポケットから、…バルディッシュを取り出す。



「それに、この子を造ってくれた。
バルディッシュに私のことを託してくれたってことも、ちゃんと知ってる」

「…はい」

「…本当はね、リニスと会えなくなったとき、寂しかった。ずっと一緒に居てくれるって、思ってたから。
だけど、リニスの優しさはちゃんと側にあったんだよね。

…この子の中に、ちゃんと」

「…」

「ね?リニスは…何もしてくれなかったなんてことは、絶対ないんだよ?」



分かって欲しかった。私にどれだけの優しさを与えてくれていたか

分かって欲しかった。私が…どれだけリニスに感謝しているか。



「………ありがとう、フェイト」



お礼を言うのは私の方だ。

…本当は、目を見て、真っ直ぐに想いを言葉にして伝えたい。

けれど今は見れないから…

届くかは分からないけど、届けたいと思った。



「………リニス。私ね。

リニスに逢えて、本当に良かった。
リニスと過ごせた時間が、本当に嬉しかった。

伝えるのが大分遅くなったけど
…伝えられる日が来るなんて思わなかったけど

―――リニスのこと、

私はいつまでも

大好きだよ」



…ずっと伝えたかった言葉は、果たしてリニスに届いたのだろうか。

私の頭を抑えていた力はとっくに緩んでいたから、少し気になって…振り仰ぐ。



「―――…」

「…なんだ

リニスだって泣き虫じゃない」



振り仰ぐときに、滴が顔に当たった。

リニスの泣き顔は…初めて見たかも知れない。



「あなたの泣き虫がうつったんです」

「…なら私、泣き虫でも良いかな」

「まったく…」



リニスの目の縁を指先で拭う。

…私も、伝えられたことが嬉しくて少しだけ泣いた。




















―――暖かい日差しの下。膝の上には、愛しい子の温かさ。



「…寝てしまいましたか」



穏やかな寝息を立て、何よりも安心しきったような寝顔を見せる。



「こんなに落ち着いた寝顔も、初めて見ましたかね」



少なくとも私の知っているこの子は、眠りがとても浅かった。寝付きも寝起きも良かったけど、本当の意味での休息を取れていた訳ではないように思う。



「まぁ、寝起きの悪さには驚きましたが…」



先程のフェイトの寝ぼけ具合を思い返して笑みが零れる。…目の前に私がいたということへの驚きもあっただろうけど、それを抜かしてもとても驚くものだった。



「…フェイト」



前髪を払い、額ににうっすらと浮かぶ汗を指で拭う。小さく寝息がもれるが、起きる気配はなかった。

…以前のこの子では考えられない程、深く寝入っているようだった。



「…さて、どうしましょうかね」



眠りが深いのは良いことだけど、このままここで寝せる訳にはいかない。風邪をひかれては困る。…けれど先程起こしたときより、起こすのには苦労するのは目に見えていた。



「ここはフェイトの家ですから…どこかに部屋もあるのでしょう。…仕方ありません。運ぶとしますか」



とは言えフェイトはもう私の背を大分追い越しているような感じだ。運ぶのは子どものときのように容易ではない。



「ですからバルディッシュ。…補助をお願いしますね」



バルディッシュにサポートを任せ、彼の道案内に沿ってフェイトを部屋まで運ぶ。

彼女らしいシンプルな内装に、ほんの少しの安心を覚えた。

ベッドに寝かせて、布団を掛ける。



「…リ…ニス………」

「はい?」

「……すぅ…」



寝言でも名前を呼んでくれることが、嬉しかった。



「…さて、フェイト」



フェイトの頬に手を添える。



「―――あなたは目が覚めたとき、“私と会った”ということを…覚えているでしょうか。
覚えていたとしても、夢だったのだと思うかも知れません。
…それでも、私もあなたと話せて、本当に良かった。

あなたの成長した姿を見れて、…本当に、良かった」



私は…自分のことを薄情けな存在だと思っていた。

恨まれても責められても仕方ないと…思っていた。

けれど…フェイトはそんな私のことを慕ってくれていた。



―大好きだよ―



フェイトの言ってくれた言葉が…想いが、私の心を温かく包み込んでくれるような気がした。

こんな私が…こんなに幸せであっていいのか。

…優しいこの子に出逢えて、私も、本当に嬉しかった。



「…あなたはこれからも、きっと…沢山のことを経験していくでしょう。嬉しいこと、楽しいこと。時には辛いことも、悲しいことも。

でも…あなたなら、きっと、大丈夫ですから。

何があっても

『えへん』と胸をはって」



主の傍らに座す、私の生み出した最高のこの子の相棒に声を掛ける。



「バルディッシュ。
…これからも、フェイトを…お願いしますね」



宝石は二度点滅する。



「寡黙なのは変わりませんか…ふふっ」



…やがて、私の耳許でキィン―と音が鳴る。



「…時間ですか」



―――本当は、もう少しこの子と一緒に居たかった。

けれどこの身は…もう、保たない。



「…フェイト」



…眠るフェイトの額に口付けを。

こみ上げる愛情の念を込めて。

視界は霞む。

意識も沈む。

…私は、もう直ぐ消える。





「―――私もあなたを、

愛しています」






…この言葉は、フェイトに届いたのだろうか。




















―――リニスの姿が光に包まれ、その光が消えた後、そこに人影はなかった。

宝石は明滅し、



《good night.master.》



生みの親であるその存在に,その言葉を贈った。

























「―――…ん……」



目が覚めると、そこには見慣れた天井。

自分の部屋だということは直ぐに分かったが…



「…私…部屋にずっと居たんだっけ?」



《good morning.sir》



「あぁ…うん。おはよう、バルディッシュ」



挨拶をくれたバルディッシュに言葉を返すも、やはりどこか釈然としない思いを抱えて首を捻る。

ベッドから出たときに、今度ははっきりと疑問に移り変わるのを感じた。

寝間着ではなく、部屋着を着ていた。



「やっぱりそうだ…」



『起きていた気がする』のは夢じゃない。

私は朝早くに目が覚めて、散歩に出掛けて…猫に出逢った筈だ。

そして…その猫は…



「―――リニス?」



辺りを見回しても、…その姿はどこにもなかった。

部屋を出て、リビングに向かう。





…やっぱり、夢じゃなかった。





ソファや床に散らばる猫の毛。

キッチンのシンクに置いてあるキャットフードの空き缶。





そして、ダイニングテーブルの上の置き手紙。





『体には充分気をつけて下さいね。

親愛なるフェイトへ

リニス』





「………っ」





以前は見慣れていた、リニスの書いた文字。



涙が出た。
悲しさではなく…嬉しさで。

こんなところをリニスに見られたら、またきっと『泣き虫ですね』って言われてしまう。



だけど、良いんだ。

―――それも含めて、私だから。



「…親愛なるリニスへ」





『ありがとう。逢えて本当に嬉しかった。

…大好きだよ

フェイト』




「―――さて、と」



置き手紙に想いを添えて、私はもう一度辺りを見渡す。





この猫の毛やら何やらを、みんなが帰ってくるまでには何とかしなければならないかな

そんなことを考えながら。





…時刻はもう夕方近く。

私にとっての特別な休日は、もう直ぐ終わる。





□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


リニスというキャラクターが本当に好き過ぎて泣きたいです
無印SSの02と小説と映画とそのコミックス版は間もなく霜条から涙という水分を奪っていきます

…駄文で台無しにした感がハンパないがな!(ちょ;

とにかくもう本当にリニスとフェイトの関係性が切なくも優しくて、…はい(感無量←
というかこんな私がこれ以上言葉を重ねるのは野暮というかなんというかなので話を変えます!(((


フェイトさんの休日の行動描写を無駄に頑張ってみたよ!(爆)
後は寝間着と部屋着ってそんな大差ないよねとか、書いてて思ったけど敢えてスルーしました!(笑)

…ベーコンエッグは私が書いてるときに食べたかったものです!


………;


なんかもう…
ごめんなさい!(脱兎




☆このお話は、MTCのストーリーからの派生みたいな感じで書くという考えも一応ありました。

故に、またこのお話にももう一つの結末があったり…
あ、別に救いがないとかそんなんでは決してなく(焦;

…本当はこっちで締めたかったんですが、軽くバレが入るので自重というかなんというかでワンクッション´`


キーワードは『日記』。


ピンと来た方。バレでも気にしない方、興味のある方は下記よりどうぞ☆



↓↓↓














―――部屋に戻って、机の上に置いたある本を手に取る。

それは…リニスの日記。

中身を見ようとしたアルフは、リニスに怒られてしょんぼりしてたっけ。

…PT事件の調査のとき、昔住んでいたアルトセイムの山小屋から発見されたその日記は、当時の事件の重要な証拠として管理局に保管されていた。

それが私の元にこうしてあるのは…つい最近のことで。

超法規的措置である筈のそれは、リンディ母さんが尽力してくれたことは想像に難くない。

『遅くなってしまってごめんなさい』、そう言ったリンディ母さんの表情は優しかった。



…表紙を一撫でする。まだ全部は読んでないけど…どれだけリニスが私を大切に想ってくれていたか、数ページ読んだだけでも伝わってくる。



「…これを読んだから…かな」



リニスと逢えたこと。

夢でも幻でもない…ちゃんと、温もりも覚えてる。



「…ありがとう」



この本は…ちゃんと大切に仕舞っておこう。



私とリニスの…絆として。



















□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


リンディ母さんならいつかはやってくれる気がします(((

stsのスカさんに揺さぶられた辺りで、この日記を読んで立ち直ったフェイトさんとか想像すると泣けてきます

時間軸の関係とかは知りません(((







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【2011/09/28 00:37 】 | リリカル【その他突発SS】 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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